荒井未来

ヘンリー塚本監督のニヒリズムが伺える本作は、数あるFAプロ作品の中でも時代劇に挑戦した意欲作である。その独特の味わいが紡ぎだす、深遠なるエロスの世界をご賞味いただきたい。

FAプロの定番モチーフの一つである「夫婦交換」シリーズの初期作品集。ヘンリー塚本監督作品において、「夫婦交換」、「スワッピング」とは、年月の積み重ねに因ってSEXに飽きてしまった夫婦が、再び互いの重要性を再認識する為の儀式である。ただただ快楽に溺れたいが為の所業として描かない所に、ヘンリー塚本自身の、性に対する考え方が現れていると言えるだろう。

今回はレズの名作シリーズ「ネコとタチ」の第一作をリマスター復刻！とあるマンションを舞台とし、レズの快楽に嵌り続ける業深き人妻達の性を描いた本作は、ヘンリー塚本作品に於いて初めてレズ…女同士の情交を題材とした作品である。当時ベテランのFA女優であった、荒井未来と木内みどりの二者による生々しい接吻の応酬は必見であり、性に飽いた人妻の性（さが）を見事に表現している。

小料理屋に住まう三姉妹。放蕩三昧の内縁の夫に嫌気がさしている長女、その姉の夫に度々肉体を使わせている次女、愚連隊から抜けたがっている三女。場末の酒場で繰り広げる女たちの情欲模様を描いた秀作。（92年制作）